超高層ビル篇

2023年1月5日

Q1

「超高層ビル」って、何メートル以上の建物なのかなぁ?

A1

現在は特に決まりはありません。

日本には大小さまざまなビルがあり、その中には「超高層ビル」も含まれています。でも、実は「超高層ビル」の正確な定義はありません。2007年までは「高さが60メートルを超える建築物」を「超高層建築物」と呼ぶ決まりでしたが、法律が変わったタイミングでなくなったのです。ちなみに60メートルは、大体20階建てくらいのビルの高さになります。
日本の「超高層ビル」第1号は、東京にある「ホテルニューオータニ本館」だといわれています。
地上17階建て、高さ72メートルで、建設当時(1964年)は「日本最初の超高層ホテル」と新聞にも書かれました。その4年後に、高さ156メートルの当時ではとても高い「霞が関ビル」が完成しています。その後、100メートルを越える建物も少しずつ増えていったため、「超高層ビル」とは「高さ100メートル以上の建築物」と考える人も多いようです。

建築基準法施行令けんちくきじゅんほうせこうれい第36条 第3項。建築基準法は、日本の建築に関するもっとも基本的な規則を定めた法律で、その法律を利用する場合の詳しい内容を示したものが「建築基準法施行令」。

Q2

「超高層ビル」はどうやって建てるのかなぁ?

A2

積み木を重ねるように積み上げていきます。

超高層ビルのような高い建物を造るのは苦労や時間がとてもかかります。それを安全に素早く行うために、大成建設は「積層せきそう工法こうほう」という方法を用いて超高層ビルなどの建物をつくりました。
これは、1~3階分の柱や床などを積み木のブロックのように一つにまとめて、下から積み上げていく方法で、建物が鉄筋コンクリート(RC)や鉄骨(S)で造られていても、どちらの骨組みでも使えます。
柱やはりを工場で造り、建設現場で組み立てるだけでよいため、安全性や品質を確保しながら、図のような作業を繰り返して、短期間で超高層ビルの建設を進められるのです。

RC積層工法 S積層工法
Q3

「超高層ビル」の建設に使うタワークレーンは、
ビルが完成したらどうやっておろすのかなぁ?

A3

大きいクレーン、中くらいのクレーン、小さいクレーンの順におろします。

超高層ビルの建設にはさまざまな大きさのタワークレーンが使われていますが、ビルの完成後に、大きなクレーンを分解した部品をほかのクレーンを使って地上におろします。
例えば、図の①から⑤に示すように、大小のクレーンを組み合わせて作業を行います。
まず、屋上にある大きなタワークレーンを分解し、中くらいのクレーンを使って地上に部品をおろします。次に中くらいのクレーンを分解し、今度はもっと小さなクレーンで地上におろしていくのです。それを繰り返すことで、地上におりてくるころには、人が運べる大きさにまでクレーンを小さく分解して、作業が終了します。

  1. 1

    ビルの屋上にある大きなクレーンで中くらいのクレーンを屋上まで引き上げる。

  2. 2

    大きなクレーンを分解して中くらいのクレーンで下におろす。

  3. 3

    中くらいのクレーンで小さなクレーンを引き上げる。

  4. 4

    中くらいのクレーンを分解して小さなクレーンで下におろす。

  5. 5

    小さなクレーンをエレベータで運べる大きさに分解して、人が下まで運ぶ。

Q4

「超高層ビル」の寿命はどのくらいかなぁ?
/壊すときはどうやって壊すのかなぁ?

A4

しっかりと管理すれば、200年以上の寿命を実現できます。

超高層ビルの骨組みはとてもしっかりしているため、最低でも100年、さらにしっかり管理すれば200年以上と長く使うことができます。骨組みが鉄骨の場合はびてくさらなければ、ほぼ永遠に壊れないといわれています。例えば、フランスのパリにあるエッフェル塔(高さ312m)は、鉄骨で造られていますが、建設から約135年たった今でもしっかり立っていて、観光名所になっています。ただし、超高層ビルの場合、エレベーターなどの機械や空調・照明器具などが骨組みよりも先に古くなり性能せいのうが低くなってしまうので、一定の期間で点検・交換する必要があります。

超高層ビルを壊すときは、造ったときとは逆の順番で、上から順に壊していきます。大成建設では、壊すときに雨や雪を防ぎ、音やほこりが周りに広がらないようにするため、壊す階の周りを屋根と壁などでおおってから作業を行っています。このように壊す方法を、大成建設が開発した「テコレップ工法」といいます。外からは壊す作業の様子は見えないので、知らないうちに作業が進み、建物がどんどん低くなっていくのが特長です。(詳しくは動画をご覧ください)

テコレップ工法による解体動画