トンネル篇

2023年4月1日

Q1

トンネルのつくり方は何種類あるのかなぁ?

A1

大きく分けて4種類あります。

つくる場所(山、まち、水の中など)や使い方(道路、線路、水路など)、また山の岩やまちの地面の高低・凸凹や硬さ・軟らかさなどによって使い分けます。4つのつくり方には、「山岳(さんがく)トンネル工法」、「シールドトンネル工法」、「開削(かいさく)トンネル工法」、「沈埋(ちんまい)トンネル工法」と、それぞれ名前がついています。

トンネルのつくり方 それぞれの特徴

  1. 1山岳トンネル工法:山をくぐるトンネルをつくるときによく使う方法。最初に、大きな機械や爆薬(ダイナマイトなど爆発させるための火薬)を使って少しずつ山を崩しながら、吹付けるコンクリートや鉄骨、鋼製ボルト(ロックボルト)で周りの壁を固め、トンネルを掘った後の山を安定させた状態で掘り進めていきます。完成したトンネルの形は、馬の足につける蹄(ひずめ)に似ています。最近はまちなかでも機械を使ってこの方法でトンネルをつくることがあります。
    山岳トンネル工法の仕組み
  2. 2シールドトンネル工法:まちなかの地面の下で軟らかい土の中にトンネルをつくるときによく使う方法。円筒形をした「シールドマシン」という鋼製の機械を横向きにして、マシン前面のビットという「歯」のついた円板を回転させながら掘り進めていきます。柔らかい土には、土や水で圧力をかけ、バランスをとりながら進みます。掘った後は、セグメントというリング状の部品を組み合わせて壁をつくり、シールドマシンを前に押し出します。完成したトンネルの形は円形が基本ですが、円形の他いくつかの形を組み合わせる場合もあります。
    シールドトンネル工法で用いるマシンの仕組み
  3. 3開削トンネル工法:地下街や地下鉄など、浅い部分にトンネルをつくるときによく使う方法。地面から穴を掘り、地上で先につくっておいたトンネルとなる建造物を設置するか、掘った後に新しくトンネルをつくり、最後に上から土をかけて埋めます。穴を掘るときは、周りに壁などをつくって支えながら掘り進めます。完成したトンネルの形は、ほとんどが横長の直方体(四角い箱)になります。
    開削トンネル工法の仕組み
  4. 4沈埋工法:水の中にトンネルをつくる際に使う方法。別の場所でつくった箱のような建造物を、水中でつなぎ合わせてトンネルをつくります。まず、水の入っていない大きなプールのような場所で、直方体の形をしたトンネルの一部をつくります。これを水に浮かべて運び、トンネルの設置場所で海や川の底に沈めます。その前に沈める場所の底には先に溝を掘っておきます。この作業を繰り返して箱のような建造物をつなぎ終わったら、上から土や砂をかけてトンネルが完成します。
    沈埋トンネル工法のイメージ

この4つのつくり方から、地面の硬さや周りの様子、どんな場所につくるか、トンネルの大きさはどれくらいかなどを考え、設置場所に合わせて、一番良いつくり方を選びます。トンネルのつくり方は1つだけではなく、いくつかの方法を組み合わせる場合もあります。

Q2

トンネルはどのようにつくられるのかなぁ?
(そのときに使われる機械は何?)

A2

爆薬やシールドマシンを使って作る工法があります。

トンネルをつくる場所やつくり方によって作業の順番は変わりますが、代表的な2つの方法を紹介します。

山岳トンネル工法

爆薬を使って堀り進める場合

  1. 1トンネル前方にある岩に爆薬(ダイナマイトなど爆発させるための火薬)をつめる穴をいくつかあける
  2. 2爆薬をつめて爆発させ、山(岩)の一部をくずす
  3. 3爆発によってくだけた岩や石をどかす
  4. 4くだけた部分のトンネルの壁をコンクリートを吹付けて固める
  5. 5トンネルの壁を支える鉄骨を設置する
  6. 6トンネルの壁を再度コンクリートを吹付けて固める
  7. 7トンネルがくずれてこないよう、鋼製(こうせい)ボルト(ねじ)を岩に打ち込む
    <ここまでの1.~7.の手順を繰り返して、少しずつ掘り進める>
  8. 8トンネルの下の部分を掘ってコンクリートで固める
  9. 9水が入らないようにトンネルの壁に防水シートを張る
  10. 10トンネルの壁を仕上げ用のコンクリートで固める
  11. 11道路を舗装(ほそう)する、または線路をつくる
  12. 12トンネル完成
山岳トンネルのつくり方

爆薬を使わずに掘り進める場合

山が硬い岩の場合には、爆薬を使わずにトンネルボーリングマシン(土を掘って穴を開ける機械)などを使って少しずつ山を崩してトンネルをつくります。この場合には、爆薬を使った方法と同様に④~⑦を繰り返して地面を固めながら掘り進めます。

シールドトンネル工法

  1. 1最初に、シールドマシンが出発する場所と到着する場所に立穴を堀ります。出発場所には、トンネルの入口やシールドマシンを前に進めるための装置(反力架台)、シールドマシンを組み立てるための土台を作って準備します。同時にシールドマシンを工場でつくっておきます。
  2. 2完成したシールドマシンを分解して立穴まで降ろし、再び組み立てて出発地点に設置したら、地中に向けて掘り始めます。
  3. 3軟らかい土を掘っている間、土や水で圧力をかけ、周りの土が崩れないようにバランスをとりながらマシン前面のカッターが回転して土を切り崩し、その土をマシン内の装置を使って外に運び出します。
  4. 4シールドマシンはカッターを回転させながら、マシンの後ろについている油圧ジャッキという装置を使い、トンネルの壁を支えに押し出すようにして前に進みます。
  5. 5マシンで掘り進めた後には、地面を支えるためのリング状の「セグメント」(鉄筋コンクリートまたは鋼鉄製の部材)を組み合わせて、円筒形のトンネルの壁を作って完成させます。
  6. 6シールドマシンが到着地点の立穴まで進みトンネルが掘り終わったら、シールドマシンを解体します。
シールドトンネルのつくり方
Q3

同じトンネルでも道路用と鉄道用は何が違うのかなぁ?

A3

トンネルの長さや傾き、形など、実はかなり違いがあります。

長さ

普通は、道路トンネルは短く、鉄道トンネルは長くなることが多いです。その理由は自動車が排気ガスを出すので、汚れた空気を早く外に出して空気が入れ替えられるように短い距離になっています。ちなみに、日本で一番長い道路トンネルは、群馬県にある関越トンネル(約11km)です。また、一番長い鉄道トンネルは、青森県と北海道をむすぶ青函トンネル(約54km)です。

傾き(勾配)

新幹線(鉄道)トンネルより高速道路トンネルの方が、傾きが大きいことがほとんどです。新幹線のトンネルは1,000m進む間に最大で15mほど上がるようになっていますが、高速道路のトンネルは1,000m進む間に最大で60~70mと4倍ほどの傾きとなります。これは自動車と列車の坂を上る能力の違いのためです。自動車は列車より小型で軽量なため、急な坂でも登っていく馬力がありますが、列車は一気に高いところまで登れないので、トンネルの傾きもゆるやかになっています。

道路トンネルの断面はだいたい横に広く平べったい形をしています。鉄道トンネルの断面は列車や電線にぶつからないよう少し縦長の形をしています。

このような理由から、道路トンネルは山の上の方に短い距離で、鉄道トンネルは山の下の方に長い距離でつくられることが多いです。

Q4

まちの地下にあるトンネルには、どんな形があるのかなぁ?

A4

円形、縦長・横長の直方体など、さまざまな形があります。

まちの地下には、シールドマシンを使って掘ったトンネルが多くあります。これには、円形以外にも、縦長・横長の直方体、複数の円形を組み合わせためがね型、だ円形など、さまざまな形があります。つくりたいトンネルによって、シールドマシンの形も違います。また、横方向にまっすぐ進むだけでなく、これまでには途中で直角や必要な角度に向きを変えて掘ることのできる球体のシールドマシンや、地下から地上に向かって上向きに進むことのできる上向きシールドマシンなど独自の形をしたシールドマシンを使い分けてトンネルをつくってきました。

  1. 1めがね型のシールドマシン(複数の円形を組み合わせた形)
  2. 2円形以外の形をしたシールドマシン
  3. 3球体シールドマシン
  4. 4上向きシールドマシン
    上向きシールド工法イメージ図