ダムの“なぜ”?前編
~ダムの役割と種類について~
2024年4月9日
ダムの役割は何かなぁ?
ダムにはさまざまな役割があります。
大雨や台風のときに川の水を調節したり、暮らしや産業に必要な水を蓄えたり、水の力を利用して電気をつくったり、いくつもの役割を一度に引き受けながら、人々の生活や社会をしっかり支えています。
① 川の水量を調整して洪水を防ぐ。
大雨が降ると川の水は急に増え、下流の町や村が洪水になることがあります。ダムは、増えた川に水をいったん貯水池に蓄えて、水の量を調節して下流に流すことで洪水から人々や暮らしを守ることができます。
② 暮らしや産業に必要な水を蓄え、確保する。
何日も雨が降らないと、農業に必要な水が不足して作物が枯れてしまいます。ダムには農業用のため池の役割もあり、蓄えた水を計画的に使うことで、すこしの日照りでも安心です。また、水道水やさまざまな工場で大量に使われる工業用水としても、ダムに蓄えておくことができます。
③ 水の力を利用して電気をつくる。
発電設備のあるダムでは、貯水池に蓄えた水を高い所から低い所に落として発電機を回して電気をつくる水力発電を行います。
④ 水辺の環境を守る、観光・レジャーを生み出す。
ダムは周囲の自然に配慮されて設計され、環境保全や美しい景観もつくり出します。下流の川で船が安全に通行したり、生き物が安心して暮らせるよう水の量を調節して環境を整えます。また、釣りやボート遊び、キャンプ場などたくさんのレジャーを生み出し、地域の発展に貢献しています。
日本でつくられるダムの種類はどのようなものがあるのかなぁ?
大きく分けて3種類あります。
どの形のダムをつくるかは、ダムをつくる場所の位置や地質、地形、予算などを検討して決めています。
コンクリートダム
ダム本体をコンクリートでつくり、その重さで水の圧力や地震の力に耐えるように設計されたダム。硬い地盤であれば、ほとんどの地形に建設できるため、日本のダムの4割近くはこの形を採用しています。
アーチ状の形しており、水の力をダム両岸の岩盤で支える形のダム。谷の幅が狭く、両岸の岩盤が硬い場合はこの形のダムが適しています。ダムの厚みを薄くでき使用するコンクリートの量は重力式に比べて少なくできます。
重力式ダムの内部を空洞にして、コンクリートの使用量を少なくしたダム。貯水池側のかべを傾斜させ、ダム基礎部(下部)の幅を広くとることで、水の重さを利用してダムが安定するように工夫されています。
フィルダム
近くの山から取れる大量の岩石や土を主な材料にしてなだらかに積み上げてつくるダム。コンクリートダムより体積が大きく、基礎部分の設置面積が広くなっています。地盤がそれほど硬くなくてもダムをつくることができます。
土を盛って固めたダムで、どんな場所にでもつくることができます。昔から日本にあるダムもこの形でつくられていますが、ダムの高さは30m以下の小規模なものが多くなっています。
特殊なダム
セメントで固めた砂礫を用いて台形状に組み上げるダム。建設現場近傍で比較的簡単に取れる石や砂などさまざまな品質の材料とセメント、水を混ぜた「CSG」という材料を用いて、これまでのように品質や強度が良質ではなく、捨ててしまっていた材料も有効活用できるようにしてダムの材料として使用しています。
同じ敷地内に複数の形を組み合せてつくるダムで、敷地の地質や地形に合わせて最も適した形を選びます。例えば、重力式コンクリートダムとロックフィルダムの組み合せなどがあります。