洋上風力の“なぜ”?前編
~洋上風力の役割と種類について~

2025年9月26日

Q1

洋上風力発電のしくみはどうなっているのかなぁ?

A1

洋上風力発電は、海の上に建てた風車を自然の風の力で回すことによって電気をつくります。

海の上に高さ150mぐらいのタワーを建てて、その一番上に風車を設置します。羽根(直径が200mぐらい)を風の力で回し、後ろ側についている発電機で電気をつくります。海の上は陸よりも風が強く吹いているので、たくさんの電気をつくることができます。つくられた電気は海の底を通る太い電線で陸に送られ、私たちがいつも使っている電気と同じように使うことができます。

Q2

洋上風力発電用の風車はどうやって海の上につくるのかなぁ?

A2

「着床式(ちゃくしょうしき)」と「浮体式(ふたいしき)」の2つの方法があります。

海の深さや海の底の様子、風の向きや強さ、波の高さなどを調べて、どちらの方法がよいのか決めます。

着床式(ちゃくしょうしき)

海の深さがわりと浅いところ(50mくらいまで)で使われる方法です。海の底に直接「台」をつくり、しっかりと固定してから、その上に風車をのせます。風車を設置する場所に合わせて、「台」をつくる方法(型・かた)は、「モノパイル型」、「ジャケット型」、「重力(じゅうりょく)型」の3つがあります。

浮体式(ふたいしき)

海の深さが深いところ(50m〜数100m)では、海の底に「台」をつくるのがむずかしくなります。そこで風車をのせたタワーの下の部分に大きな箱のような形をした「浮体」(ふたい:浮き輪のようなしくみ)を組み合わせて、船のように海へ浮かべます。これらを浮かべる方法(型・かた)は、「セミサブ型」、「スパー型」、「バージ型」、「TLP(テンションレグプラットフォーム)型」の4つにわけられます。

Q3

海の上で浮いている風車は、どうして波に流されず、同じ場所にあるのかなぁ?

A3

風車をのせた浮体(ふたい)を、海の底のおもりにしっかりつないでいるからです。

風車をのせた浮体が波や風で流されないように、浮体と海の底のおもりをじょうぶな鎖(くさり)や鉄製などのロープでしっかりつないでいます。浮体とおもりをつなぐ方法(係留方式・けいりゅうほうしき)には、「カテナリー方式」、「トート方式」、「テンションレグ方式」の3つがあります。

カテナリー方式

船を固定するため海の底におろす「いかり」のように、浮体と海の底を太くて重たい鉄製の鎖(くさり)でつなぐ方法。鎖(くさり)は海の底にたるませておき、その重さで浮体が大きく動かないようにします。

トート方式

テントをはるときのように、海の底に杭を打ちこみ、そこからピンとはったじょうぶなロープで浮体をつなぐ方法。ロープは鉄製や繊維でできていて、「カテナリー方式」よりも浮体が動かないようにできます。

テンションレグ方式

海の中に浮体を半分沈めて使います。この浮体が海の上に浮きあがらないように、浮体を海の底からまっすぐ下に強くひっぱり、固定します。3つの方法のなかで、もっとも浮体が動かないようにできます。