洋上風力の“なぜ”?後編 
~洋上風力の現象と機能について~

2025年10月7日

Q4

海に浮かぶ風車が波や風でたおれることはないのかなぁ?

A4

たおれることはありません。

風車をのせた浮体が大きな波や強い風でかたむくことはあっても、すぐに元どおりの姿勢に戻る力(ふくげんりょく)がはたらくため、たおれることはありません。

浮体式(ふたいしき)の風車は次のようなしくみになっています。

上の部分
風の力で回る羽根、発電機
真ん中の部分
風車を支えるタワー(タワーの中はからっぽで、上にいくほど直径が小さくなっています。)
下の部分
風車をのせたタワー全体を浮かせる大きな浮体(中はからっぽのところと、海の水などを入れてゆれにくくするところがあります。)

浮体に海の水をたくさん入れると風車全体がとても重くなり、ゆれにくくなります。重たい部分が下にあるので、「重さの中心」が下のほうにうつり、風車全体の重さは下向きにはたらきます。これにたいして、浮体を浮かせる力は「浮かせる力の中心」が水につかっている部分の真ん中より上にあり、上向きにはたらきます。海の上の風車はこれらの力がつりあうことで、ひっくり返ることなく安定して浮くことができます。

風車をのせた浮体がかたむくと、下向きにはたらく重さよりも、上向きにはたらく浮かせる力が大きくなります。その結果、「起き上がりこぼし」のように元どおりの姿勢に戻ろうとする力(ふくげんりょく)がはたらきます。だから、海に浮かぶ風車はたおれることがないのです。

Q5

風が弱いときと強いときで、風車の羽根の動きはどうなるのかなぁ?
そのときの電気の量はどうなるのかなぁ?

A5

風の強弱に合わせて、風車の羽根の向きや回転を変えています。
さらに、電気をためて必要なときに使うことができます。

風が弱いときは、風車の羽根の向きを変え、風をうける面を広げます。風が強いときは、風が当たらないよう羽根の向きを変えると同時に回転をとめ、風車がこわれないようにします。風からつくった電気はいったん大きな電池に貯めることもできます。風がふかず電気がつくれないときは、前につくって貯めておいた電気を必要な場所や時間に使うことができます。

風車と風の強さの関係
海の上は風をさえぎる山や建物などがないため、陸よりも風が強くふきます。そのため、ちょうどよい強さの風をうけて羽根が回り、安定して電気をつくることができます。風車は風が強くなるほどはやく回り、羽根の先っぽは新幹線と同じくらいのはやさになることもあります。
風車が回りはじめる風の強さ
風の強さが1秒間に2~3m :ゆっくりと風車が回転しはじめる
風の強さが1秒間に4~5m :電気をつくりはじめる
風の強さが1秒間に7m以上:安定して電気をつくれる
洋上風力発電では、1年間にいちばん多くふく風の強さが1秒間に7m以上で、海岸からなるべく近いところを探して風車をつくります。
風が弱いときの羽根の動き
風が弱いときは羽根の動きがとまってしまい、電気をつくることができません。
ほとんどの風車は、風の強弱によって羽根の向きを自動で変えることができます。
風が弱いときは、風をうける面が大きくなるように羽の向きを変えて、たくさん回るように工夫しています。
でも、海の上で風がまったく吹かない「凪」(なぎ)とよばれるとても静かな状態のときには、どんなに工夫しても羽根を回すことができません。
風が強いときの羽根の動き
台風などで風速が1秒間に25m程度以上の強い風がふくときには、風車の安全のために羽根の回転をとめて動かないようにします。強い風のなかで羽根が回転しつづけると、機械が振動したり、電気をつくる機械が動かなくなったり、羽根に大きな力がかかってこわれてしまうことがあるからです。
電気がつくれないときは
羽根を回してつくった電気はいったん大きな電池に貯めておくことができます。風が弱かったり、強かったりして羽根が動かずに電気がつくれないときは、前につくって貯めておいた電気を使います。そうすることで、家庭や学校、病院などの必要な場所や、電気を多く使う夜の時間にも使うことができます。