育児・介護支援制度の拡充【その2】大成建設の取り組み
2025年9月17日
卒業式などの学校行事やPTA活動にも~看護等休暇を拡充~
2025年4月から、改正育児・介護休業法が段階的に施行され、従来の「子の看護休暇」は「子の看護等休暇」へと名称が変更された。これにより、病気やけが、予防接種等に加え、感染症に伴う学級閉鎖や入園・入学式、卒園式も休暇取得の対象となった。
大成建設では法改正への対応に加えて独自の施策として、個人面談や授業参観などの学校行事、PTA活動への参加も取得事由に追加。対象となる子の年齢も小学校6年生までに拡大し、卒業式も休暇対象とした。また、子どもの人数に関わらず、年間一律で15日間の有給での休暇取得を可能とした。

社員の声
これまでは有給休暇を取得し、子どもの学校行事に参加していたため、PTA役員になることを躊躇していましたが、「看護等休暇」の拡充で立候補できました。PTA活動に参加することで、学校からの情報を詳しく知ることができ、子どもや夫との会話が増えたと感じています。私が学校行事に積極的に参加できるようになったことで、子どもが「見に来てほしい」と積極的に伝えてくれるようになりました。
育児休暇を“孫”にも適用~育児休暇の対象拡大〜
育児休暇は会社の努力義務とされているが、大成建設では2016年7月から年間5日間の有給育児休暇制度を導入している。2025年4月から、孫の養育も取得理由に追加し、制度対象の拡大を図った。
共働き家庭を支援することで、多くの社員の更なるモチベーションアップを期待した改正である。

社員の声
孫の通院のために育児休暇を取得しました。共働きが一般的な今、病気やけがなど突発的な出来事に対する「親」への支援が重要だと痛感しています。この制度がはじまってすぐに取得したため、周囲からは「そんな制度があるの!?」という驚きの声が聞かれました。制度を知って「離れて住んでいる孫」を訪ね、養育した社員もいるようです。
介護サポートと介護休暇日数の拡大
介護分野においてもワーク・ライフ・バランス推進に取り組んできた大成建設では、介護を担う社員へのサポートを積極的に実施するとともに、仕事と介護の両立に重きを置く。
本人・上司・人事担当の三者が連携するサポートプログラムのほか、介護に備えた事前の心構えを学べるセミナーなども実施し、40歳になった社員全員に「介護のしおり」を送付するなど、社員が仕事と介護を両立するための情報提供を定期的に行っている。
また、2025年4月からは年間一律で20日間の有給での介護休暇を付与しており、2024年度には300名を超える社員が介護休暇を取得した。

社員の声
遠距離での介護を行う中で、ケアマネージャーやヘルパーだけでなく、多角的に情報を得るために介護支援制度を活用しました。制度を利用したことで、課題が解消され、介護にかかる時間を短縮することができました。家族や周囲の協力者の負担も軽減され、支援制度の充実を喜んでくれています。
リバイバル休暇(積立年次有給休暇)の取得要件の拡充
年度内に取得しきれなかった有給休暇を一定の条件にてリバイバル休暇(積立年次有給休暇)として繰り越せる制度を2005年から導入していたが、2025年4月には取得事由を家族の病気や障害、ひとり親家庭における小学校6年生までの子の看護等休暇の上限(最大15日分)を超えた休暇にまで拡大した。

制度活用のサポートと男性育休の推進〜今後の課題と展望〜
育児・介護休業法は頻繁に改正されるため、社員にとって有益な情報をわかりやすく伝え、制度の活用を促進する支援が必要である。
また、男性の育児支援にも引き続き注力していく。男性の育休取得率は6年連続で100%を達成しているが、平均取得日数は11〜20日程度に留まり、まだまだ少ない。2030年度末までに男性育休平均取得日数30日以上の達成を目指す。
性別を問わず、育児、介護など様々な背景を持って働く社員に向き合い、柔軟な働き方の選択肢を広げることは、企業の責務である。今後も制度の見直しや支援体制の強化を図り、一人ひとりの能力が最大限発揮できる環境づくりを目指していく。
社員の声
産後に1ヶ月、半年後に2ヶ月、1年後に2ヶ月の育休を取得しました。子どもの成長を夫婦で見守り、育児の方針もしっかり決めることができました。妻も「二人で育児をしているという実感が得られた」と言ってくれています。