カーボンニュートラル+メリット多数!
建物をアップデートするグリーン・リニューアルZEB
2023年1月5日
大成建設が進める「グリーン・リニューアルZEB」とは
温室効果ガスの増加による地球温暖化が問題となる中、日本でも2050年に温室効果ガスの排出を全体でゼロにすることを目標とする「カーボンニュートラル(脱炭素)」の取り組みが進んでいます。
こうした省エネ・脱炭素に向けた取り組みのキーワードとして、いま建設業界で注目されているのが「ZEB(ゼブ)」です。
ZEBとは「Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の頭文字をとったもの。利用者にとって快適な室内環境を実現しつつ、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物を指します。一次エネルギーとは、石油や石炭、天然ガスなどの自然界から得られたままの加工されていないエネルギーのこと。つまり、ZEBとは資源エネルギーを消費しない建物なのです。
大成建設では、既存の建物をZEB化することでスピーディーに脱炭素の目標を達成するだけでなく、人も建物も地球も健康になる取り組みを「グリーンリニューアル®」と名づけ、下記の6つのキーワードを掲げています。
このうち、①の省エネと②の創エネと③の脱炭素の最新技術を駆使して、既存の建物をZEB化してリニューアルする取り組みを「グリーン・リニューアルZEB」と呼んでいるのです。
建物のZEB化には4つのレベルがある
建物のZEB化を考える際に重要となるのは「省エネ」と「創エネ」の2つの視点です。
省エネとは「エネルギーの消費量を抑える」こと。これまで無駄になっていたエネルギーの使い方を見直したり、効率的に使用できるように工夫を加えたりすることが求められます。
創エネとは「エネルギーを新たにつくる」こと。太陽光パネルや蓄電池など、建物の中で使用するエネルギーを自給自足していくという考え方です。
この省エネ量と創エネ量の合計から定まる年間に消費するエネルギーの収支によって、建物のZEBは4つのレベルで定義されます。
「Nearly ZEB」、「ZEB Ready」、「ZEB Oriented」は、使用するエネルギーの多くを削減できているものの、まだ改善の余地がある状態といえます。建物内で消費するエネルギーをすべて省エネと創エネでまかない、実質ゼロとなっている状態が『ZEB』なのです。
ZEB化のメリットはカーボンニュートラルだけじゃない
建物をZEB化することは単にエネルギーの節約だけでなく、建物を使用する人にとってさまざまなメリットがあります。
その一例として、次の4つが挙げられます。
ZEB化の4つのメリット
- 1.光熱費の削減
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室内環境の質を維持・向上しつつ、光熱費を削減できます。延べ床面積10,000㎡程度の事務所ビルで50%省エネルギーを実現した場合、年間で40%~50%の光熱費を削減することも可能です。
- 2.不動産価値の向上
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環境に配慮した建物を求めるテナントや投資家が増えています。東京23区内に立地する事務所ビルにおいて、「環境認証を取得しているビル(環境に配慮したビル)」は、「新規成約賃料」にプラスの影響を与えるとの調査結果も発表されています。
- 3.災害時の事業継続
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災害時の事業継続性が向上します。東日本大震災で重要な業務が停止した理由として、半数以上が「停電のため」と答えています。ZEBを目指した場合、少ないエネルギー消費で運用が可能となるため、建物機能を維持しやすくなります。
- 4.執務者の快適性向上
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心地よい室内環境を実現し、快適性の向上が期待できます。自然エネルギー利用技術を取り入れた事務所ビルへ移転した場合、移転後の室内環境の方が作業のしやすさを高めてくれると感じる執務者が増加しているという調査結果も発表されています。
今後、ZEB化は建物の基準になると期待されており、早期にZEB化に取り組むことは建物の価値を向上させるとともに、利用者にとってより使いやすい建物の実現に貢献することにもなります。
「グリーン・リニューアルZEB」はこれからどう進む?
現在、大成建設の関西支店・横浜支店およびグループ会社大成ユーレックの川越工場において、グリーン・リニューアルZEBの構築に向けた取り組みが進んでいます。
特に川越工場では、カーボンニュートラルファクトリーの実現に向けて、工場へのメガソーラー(太陽光発電)の設置やカーボンリサイクル・コンクリート(詳しくはこちら:https://www.taisei.co.jp/t-econcrete/)の適用、二酸化炭素排出量の割合が低いマテリアルの活用など、最新の技術を駆使した工夫がされています。
リニューアルの具体的な内容については、こちらのページからもご覧いただけます。
既存建物のリニューアルである以上、現在のエネルギー使用量の分析や、利用者の使いやすさ、建物を使用しながらの工事など、さまざまなノウハウが必要になります。
大成建設は、自社のグリーンリニューアル®の経験をもとに、今後もトータルに建物のZEB化、ひいては脱炭素社会の実現をサポートしていきます。